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高瀬の森のニホンカモシカ

このところよく高瀬の森のニホンカモシカと出会います。
最近はつがいで歩いていることが多いのだけれど、今回は我が家から少し下った所に一頭だけ。
よく出会う個体で、向こうが先に僕を見つけ、じーっと僕を観察していたようです(^^;

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それでは、しばらく載せていなかったカモシカと猟師のお話を、約2年ぶりに載っけましょう(^^♪

仏教でいう前世の物語を意味する「ジャータカ物語」のなかに、「猟師とカモシカ」というお話があります。

昔、ある森の中に、枝もたわわにたくさんの実をつけた、大きなセーパンニの木があり、 その森に住んでいるカモシカたちは、いつもこのセーパンニの木の下にやって来て、よく熟した実を食べていました。

一人の猟師が、この木の下によくカモシカがやってくることに気づき、この木によじ登り、根気よく木の枝に座って機会を待っていました。

三日目、猟師はカモシカたちが木の下にやって来たのを知りました。
「しめた、この機会を待っていたんだ。」
彼は、木の実をおいしそうに食べているカモシカの首筋にシュッとやりを投げました。百発百中。ほとんどのカモシカは難なく猟師に捕らえられ、彼はその肉を売って金をもうけました。

猟師はその日も、木の下に真新しいカモシカの足跡を見つけました。
「ようし、明日も朝早く起きてあの木に登って待っていよう。この足跡の様子だと、カモシカはまだ若くて、きっと肉の柔らかい上物だぞ。」
翌朝まだ暗いうちから目を覚ました猟師は、息を凝らして今か今かとカモシカの来るのを待っていました。

カモシカの群れの中に、一頭のたいへん賢いカモシカがいて、彼はこのごろ、仲間のカモシカが森で殺されてしまうことが多いのに気がついていました。
「あのセーパンニの実を食べていると殺されてしまうってことは、きっとあの木の上に猟師が隠れてねらっているんだ」
そう思ったカモシカは、あのセーパンニの木の真下には行かず、少し離れた場所にじっと立っていました。

一方猟師は、姿のいい、おいしい肉のたっぷりありそうなカモシカが、さっきからこちらの方を見ているので気が気ではありませんでした。そこで、おいしそうによく熟れた木の実をカモシカの方に投げ落としました。

カモシカは、ふいにわざとらしい落ち方で木の実が落ちてきたことを怪しみ、その木を見上げると、枝の中にうずくまっている猟師が見えました。そこでカモシカは、わざと大きな声を上げてこう言いました。
「おうい、セーパンニ君、君はいつも、木の実を真下に落としていたのに、いったいどうしたんだい。今見ていたら、大きなおいしそうな実を、投げるように落としたね。セーパンニ君、君は木の実は真下に、真っすぐ落とすという木の約束を破ってしまったね。これからはもう君の木の実は食べないよ。ほかの木の下に行って、枝から真下に落ちてくる本当の木の実を食べるよ。さようなら。」
そしてカモシカは、晴れやかな声でうたいました。

セーパンニ セーパンニ
わたしはすべてを 知っている
セーパンニ セーパンニ
だれかが枝に 潜んでる
だれかの投げる 不吉な木の実
わたしはそれを 食べないよ

そのうたを聞くと、猟師はかっとしてカモシカに向かってやりを投げたましが、カモシカには当たりませんでした。

カモシカは振り返り、立ち止まってこう言って森の中に姿を消しました。
「お前はこんなやり方で、わたしの仲間をさんざんひどい目に遭わせたね。お前も死んだら、もっと苦しくて恐ろしい地獄の中を歩いていくことだろうよ。火の海、血の池、針の山とね。そのうえお前のやりよりもっと痛い責め道具で、つらい思いをするだろうよ。」

「お前はもっとひどい目に。」
「お前はもっとひどい目に。」
カモシカの声が猟師の耳にいつまでも聞こえていました。
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プロフィール

shikahiko

Author:shikahiko
長野県大町市の北アルプス山麓高瀬の森で、温泉付き貸別荘とカフェギャラリー ベルヴィルを営んでいます。
日本自然保護協会の自然観察指導員や大町市観光ボランティアの会、長野県自然保護レンジャーなどの活動に参加しています。

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